フィードバック制御の一種として多くの場面で採用されているのが、PID制御です。しかし、具体的にどのような原理で動作しているのかわからない方もいるはずです。そこで今回は、PID制御の概要や基本動作、主な特徴をわかりやすく解説します。
PID制御とは
PID制御は、自動制御で使用される手法です。1950年頃から普及が始まり、フィードバック制御の一種として多くの技術者に支持されています。登場してから長い歴史を持つPID制御ですが、自動車やエアコンなど多くの製品で採用されています。
PID制御の基本動作
PID制御の基本動作は、P動作・I動作・D動作の3つの調整で動きます。それぞれの動作でどのような動きをしているのか確認していきましょう。
P動作(Proportional)
もっとも基本的な制御動作をするのがP動作で、偏差に比例するよう操作量を増減させます。応答値は偏差が大きいほど指令値に近づき、P制御のゲインを大きくすることにより作用が強く動きます。P動作は、比例制御とも呼ばれます。
I動作(Integral)
定常偏差をなくすために開発されたのがI動作です。P制御と組み合わせて動作させることにより、定常偏差を埋められます。ただし、ゲインが強すぎると制御値を収束できない場合があるため、注意しなければいけません。
D動作(Derivative)
急激な変化をやわらげてより速く目標値に近づけるために使用されるのが、D動作です。P動作とI動作の動きを和らげるために制御が入るため、ーバーシュートやアンダーシュートを抑えられます。
PID制御の特徴
長きにわたり使い続けられている古典的なPID制御には、さまざまな特徴があります。ここでは、PID制御の主な特徴を確認していきましょう。
低スペックでも実装可能
操作速度が遅い、またはメモリ容量が少ないなど低スペックなCPUを使用する場合、理論が難しい制御方法では計算が間に合わないこともあります。一方、PID制御は演算時間が比較的短いため、低スペックでも実装することが可能です。
現場で気軽に試せる
フィードバック制御には多くの手法が存在しますが、そのほとんどは理論が難しく使いこなせない技術者も少なくありません。一方、PID制御は理論を理解できなくてもゲインを調整すれば、適切な制御方法を見つけられます。現場で調整しながら試せるのは、PID制御の大きな特徴です。
複雑な制御に対応できない
扱いやすいPID制御ですが、複雑な制御が必要な場面では対応できないことがあります。フィードバック制御はPID制御以外にも多くの手法があるため、より高度な制御方法を検討することが必要です。
まとめ
PID制御は、フィードバック制御の一種として使われている手法です。自動車やエアコンなど私たちの身近な場面で使われることが多く、現場でも気軽に試せる特徴があります。ただし、複雑な制御に対応できない場合があるため、より高度な制御方法を検討する必要があるでしょう。
参考: