X線を利用して物体の断面像や立体像を取得できるのが、CT(コンピュータ断層撮影 )です。医療や工業などさまざまな場面で活用されていますが、具体的にどのような装置なのかわからない方もいるでしょう。そこで今回は、CTの概要や使用用途、主な種類をわかりやすく解説します。
CT(コンピュータ断層撮影)とは
特殊なX線装置を用いて物体の画像を作成したり走査を行ったりする装置が、CT(コンピュータ断層撮影 )です。英語で「computed tomography」と表記され、頭文字をとってCTといわれます。CTと似た装置にX線検査がありますが、このふたつには違いがあります。
X線検査はX線を照射した方向から透視した画像を撮影できますが、CTは物体に対して断面画像を取得できるのが違いです。また、X線検査は投下したX線がそのまま画像になりますが、CTは撮影した画像を解析して立体的な断面画像を取得しなければいけません。X線検査とCTを混同しないように注意しましょう。
CT(コンピュータ断層撮影)の種類
CTは主に医療用CTと工業用CTがあります。どのような特徴があるのか確認しましょう。
医療用CT
寝台に仰向けに横たわった人の周りをX線発生器とX線検出器が回転して断層画像を撮影します。ほかにも、ドーナッツ型をしたX線装置のなかに寝台を動かして撮影する装置もあります。画像がボケてしまうのを防ぐために息を止める場合もあります。
基本的に撮影時に痛みを伴うことはありませんが、同じ体勢を維持しなければいけないため、つらく感じる人も少なくありません。医療用CTでは、がん検査をはじめ、冠動脈疾患や潰瘍性大腸炎、臓器への損傷など幅広い診断で使用されます。
工業用CT
検査したい対象物が回転して断面画像を生成するのが特徴です。工業用CTはファンビーム(fan beam)CTとコーンビーム(Cone Beam)CTがあり、X線の広がり方によって分類されます。
ファンビームCTはX線の束が扇形に、コーンビームCTは円錐状に照射されるのが特徴です。工業用でCT撮影するときは、一度の回転で立体像を生成できるコーンビームCTが用いられます。特に品質管理や研究開発の用途でCTが活用されています。
まとめ
CT(コンピュータ断層撮影 )は、特殊なX線装置を用いて立体画像を生成できる装置です。X線検査と異なり、CTは撮影した画像を解析して立体的な断面画像を取得する必要があります。主に医療用と工業用があり、あらゆる場面で活用されています。
参考: