FPDは、薄型かつ平坦なディスプレイ機器の総称です。代表的なものには液晶ディスプレイや有機ELディスプレイがありますが、それぞれ仕組みや製造工程が異なります。今回は、FPDの概要や仕組み、製造工程について確認していきましょう。
FPDとは
FPD(Flat Panel Detector)は、薄型かつ平坦な画面の薄型映像表示装置の総称です。複数の種類がありますが、基本的に厚みが10cm未満の映像表示装置がFPDに分類されます。
従来のブラウン管を使用したCRT(Cathode Ray Tube)に比べて、画面に歪みがなく厚みがないのも特徴です。また、FPDなら省スペースに大画面のディスプレイを設置できるメリットがあります。
FPDの仕組み
FPDにはさまざまな種類がありますが、代表的な薄型映像表示装置には液晶ディスプレイや有機ELディスプレイがあります。それぞれの仕組みを確認していきましょう。
液晶ディスプレイ
極小カラーフィルターを通る光量を調整して映像を作り出す仕組みです。このときに光の透過量の調整をおこなうのが、液晶層になります。液晶層でおこなう光の透過は偏光板の原理を利用しており、モノクロ液晶と同じ仕組みです。液晶層に電気を流すことで、光を遮断したり光の量を調節したりします。
有機ELディスプレイ
液晶ディスプレイはバックライトが入りますが、有機ELディスプレイは必要ありません。バックライトを搭載する必要がないため、軽量かつ薄型のディスプレイ画面を実現できます。有機ELディスプレイの特性を活かして、ゲーム機やスマートフォンなどの機器で利用されているのが特徴です。
FPDの製造工程
液晶ディスプレイと有機ELディスプレイでは、製造工程も大きく変わります。どのように製造されているのか、その工程を確認していきましょう。
液晶ディスプレイ
製造工程は、大きく2つに分かれています。
【アレイ工程】
- 回路設計
- フォトマスク作製
- 基板洗浄
- 成膜
- レジスト塗布
- 露光
- 現像
- エッチング
- レジスト剥離
【モジュール工程】
- カラーフィルター形成
- 液晶層充填
- 偏光板
- バックライト貼り付け
有機ELディスプレイ
製造工程は、大きく3つに分かれています。
【前工程】
- TFT回路の構成
- 【蒸着工程】
- 有機材料の成膜
- 有機材料の蒸着
- 正孔注入層
【後工程】
- 有機材料の封止
- 配線の接続
- パネルの切断
まとめ
FPDは画面に歪みや厚みがなく、省スペースでも設置できるのが特徴です。さまざまな種類があるFPDですが、代表的なものには液晶ディスプレイや有機ELディスプレイがあります。ただし、仕組みや製造工程が大きく異なるのも特徴です。
参考: