安定的に直流電流を作り出す安定化電源には、リニア電源とスイッチング電源があります。ただし、どのような違いがあるのかわからない方も多いはずです。今回は、リニア電源とスイッチング電源の概要や仕組み、主な違いをわかりやすく解説します。
リニア電源とスイッチング電源の仕組み
どちらも直流電圧を作り出す装置ですが、リニア電源とスイッチング電源は仕組みが異なります。それぞれの仕組みを詳しく確認していきましょう。
リニア電源
交流電流をACトランスを使用して電圧を下げます。ダイオードで整流回路を整流し、コンデンサの平滑回路で安定した電圧にするのが特徴です。整流回路から出る電圧は安定していないため、平滑回路と制御回路を通して電圧を一定に保ちます。
スイッチング電源
電圧調整するときは、事前に整流と平滑をおこないます。整流した電流に対してスイッチング素子を使用してパルス波に変換します。高速でスイッチを切り替えて電流をパルス波による擬似的な交流とし、高周波の変圧器を使用して電圧調整します。
リニア電源とスイッチング電源の違いは?
ノイズの大きさや本体サイズなどさまざまな違いがあります。ここからは、リニア電源とスイッチング電源の違いを確認していきましょう。
1.本体サイズ
電流を高周波パルスでトランスに送るスイッチング電源は、大きい変圧器が必要ないため、電源装置の本体サイズは小さいです。一方、リニア電源は周波数が直接トランスに送られるため、本体サイズが大きくなります。
2.ノイズの大きさ
電流を調整するときにスイッチの切り替えを高速でおこなうスイッチング電源は、操作時にノイズが発生してしまいます。一方、リニア電源は回路構成がシンプルなのでノイズは小さいです。
3.製造コスト
比較的回路構成がシンプルなリニア電源のほうが、製造コストを安く抑えられるのが特徴です。しかしエネルギー効率が低く発熱量が多くなるため、これらの課題を解決できる対策が必要になります。電力消費量が大きい場合は、スイッチング電源のほうが全体的なコストが低くなることもあります。
4.エネルギー効率
NASAが宇宙空間で使用するために開発されたスイッチング電源は、エネルギー効率を求めて作られています。エネルギー効率とは、投入したエネルギーに対して回収できるエネルギー量の割合のことです。リニア電源と比較すると、スイッチング電源のほうがエネルギー効率が高くなります。
まとめ
リニア電源とスイッチング電源は、どちらも安定的に直流電圧を供給できるものです。しかし仕組みをはじめ、本体サイズやノイズの大きさ、製造コストなどさまざまな違いがあります。これらの違いをきちんと理解しておくことが大切です。
参考: